
バイオリン象嵌装飾
製作段階において行う装飾オプションです。
象嵌装飾とは
象嵌装飾とは、塗装や絵付けのように表面へ加える装飾ではなく、楽器の木部そのものへ加工を行う技法です。
表板または裏板に細い溝を彫り、その溝に黒檀などの硬質材を嵌め込み、面一に整形して模様を構成します。
この作業は表面処理ではなく木材加工に分類されます。
木部の一部を切削して別材を組み込むため、板厚・質量・局所的な剛性に関わる加工となります。
そのため、施工には楽器の状態確認が必要であり、後から容易に元へ戻すことを前提とした加工ではありません。
象嵌は音響改善を目的とした処理ではありません。
音を向上させる加工ではなく、外観意匠と工芸的価値を付加するためのものです。
音色の変化が生じるかどうかは個体条件に依存し、一定の結果を保証するものではありません。
この技法はバロック期の装飾楽器に見られます。
ニコロ・アマティ工房では王侯向けの装飾楽器が製作され、フランス王ルイ13世に献上された楽器にも装飾が施されていました。
またアントニオ・ストラディヴァリも装飾楽器を製作しており、「ヘリエル」と呼ばれるヴァイオリンは象嵌装飾の代表例として知られています。
現在において象嵌は、楽器の性能を変える作業ではなく、工芸的仕上げとしての位置付けにあります。
すなわち、機能改造ではなく、楽器を作品として完成させるための製作工程の一つです。
本加工は表面装飾ではなく、木部加工として行われます。
(塗装や描画とは異なる工程です)




歴史的装飾楽器の参考例
象嵌装飾は現代の装飾ではなく、17〜18世紀の弦楽器にも見られる技法です。
王侯貴族の注文によって製作された装飾楽器に用いられていました。
ニコロ・アマティ ルイ13世の装飾バイオリン
本装飾は現代的な追加加工ではなく、伝統的製作意匠に基づくものです。
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ご案内事項
本項目はご依頼条件に関する重要事項です。
音響への影響について
象嵌加工は音質改善や性能向上を目的とした加工ではありません。
本加工は外観意匠および工芸的仕上げに関わるものであり、音を良くすることを保証するものではありません。
弦楽器の音響は、板厚・アーチ形状・材質・製作状態など複数の要素によって決まります。
象嵌による音の変化の有無や程度は個体差に依存し、一定の結果を示すものではありません。
そのため、本加工は調整作業や修理作業の代替にはなりません。
音量の増加、発音の改善、鳴りの向上等を目的としたご依頼はお受けしておりません。
施工対象について
本象嵌装飾は、お客様の楽器へ後加工として施すサービスではありません。
当工房で取り扱う製作途中の楽器に対して、製作工程内で行う装飾加工となります。
お客様から楽器をお預かりして加工を行うことはしておりません。
象嵌をご希望の場合は、対象となる楽器を当工房より選定の上、製作段階で加工を実施します。
加工は新規製作個体、または未仕上げ状態の楽器に限定されます。
完成済み楽器への追加加工は対象外となります。
ご依頼の流れ
① お問い合わせ
メールにてご連絡ください。ご希望の装飾内容、楽器サイズ等をお知らせいただきます。
② 内容確認
ご希望内容を確認し、製作可能範囲および仕様をご案内します。
③ 個体選定
当工房にて対象となる楽器を選定します。
④ 製作・加工
製作工程内で象嵌装飾を実施します。
⑤ 完成・ご案内
完成後、写真にて状態をご確認いただきます。
納期と注意事項
本加工は通常の製作工程に含まれるため、一定の製作期間を要します。
納期は仕様および製作状況により変動します。
天然木材を使用するため、木目・色味・仕上がりには個体差があります。
意匠は手作業により製作されるため、完全な左右対称や均一性を保証するものではありません。
